懐かし漫画『我ら九人の甲子園』

原作は、直木賞作家の高橋三千綱氏。画は、端正な絵柄でスポーツ漫画を得意とするかざま鋭二氏。
二人がタッグを組んだ作品には、その後、「九番目の男」や「セニョールパ」などがある。
とぼけた主人公が活躍する展開が多い印象だが、この「我ら九人の甲子園」は、無理のあるプレーや必殺技などを出したりせず、高校野球をわりとまともに描いており、当時流行っていた水島新司氏の一連の野球漫画の対極にあるような作品だった。
もちろん水島新司氏の野球漫画も大好きだったのだが、飛び抜けた天才がいないチームが、真っ当に相手と戦い、勝ちを手にしていく丁寧な展開を楽しんでいた記憶がある。
派手な展開などなくても試合を丹念に描いていけば、作品として面白くなるということがわかった作品だった。
後半は、主人公とヒロインのすれ違いを、結構ハードに描いていたという印象がある。当時中学生の目から見ると、理解しがたい描写などもあり、意外にショックを受けたものだが、今の年齢で読んだらどうなるのか気になるところだ。