映画「ヒミズ」

投稿者: | 2012年2月9日

観てきました。

原作ファンとして、結構厳しい目で観たつもりです。
が、打ちのめされました。

観終わった後に感じたのは、この映画は、原作の「ヒミズ」に対する鎮魂歌だということです。
この映画は、原作を愛する人にこそ観てほしい映画です。
原作を読んだ人が感じたであろうあの世界の絶望感、特に、主人公の住田の絶望感はとてつもないものでした。
私自身、読後感のショックをいまだに引きずっています。
そんな住田の魂を救う力を、この映画は持っていると感じました。
そういう意味で、この映画は「鎮魂歌」だと思いました。

古谷さんは「ヒミズ」後に数作を発表されています。
どれもすばらしい作品ですが、「ヒミズ」を超えてはいないと思っています。
感じるのは、どの作品を読んでも「ヒミズ」の住田の絶望感を
どの作品の登場人物も身にまとっているということです。

何よりも、作者の古谷さん自身が住田の呪縛から解き放たれていないのではないでしょうか。

私は、この映画を観て、特にラストシーンで、
住田の魂が、少し癒されたのではないかと感じています。
映画の最後の主人公二人の姿が、(原作の)住田に届けばいいなと思いました。

あの原作をここまで昇華させた監督の、原作への愛、そして執着を好ましく思います。

原作を愛する人は、絶対にこの映画を観てください。
この映画を観て原作を読んでいない人は、絶対に読んでください(最近発売の上下巻で)。

そして、ぜひ、住田の魂の安寧を祈ってください。