遅ればせながら読んだ。
アニメにもなり、映画にもなった作品であり、天邪鬼な俺はそういう作品を敬遠してしまうタチだ。ただの偏見なのだが。
ということで、最終巻まで買っていたのに本箱に眠らせていたのだ。
もったいないから、ちょっと読んでみるか、ということで読んでみた。
いやー、読んでよかった。というより、ちょっと忘れられない作品になってしまったよ。
実際のところ、こんなおっさんになってから読みたくは無かった。
読むならもっと前、ハタチ前に読みたかった。その頃読めば、感じ方も変わっていたかもしれない。
いや、そういうふうに考えること自体がおっさんの証明だなぁ。
とにかくただの恋愛少女漫画ではない。
よくこの作品の紹介で言及されていることなの(で書いてしまうの)だが、この作品のひとつの特徴に相思相愛の関係が無いということがある。
みんな片想いだ。そして読んでみて分かったことが、相思相愛よりも片想いを描く方が難しいということだ。
「理由なんて無いもーん、好きなんだもーん」と能天気に言ってしまえば済むところを、片想いというものはそうはいかないのだ。
登場人物たちは悩むのだ。「なぜ、○○は俺(私)を好きになってくれないのか」と。そしてまたその相手もそれぞれ片想いの相手がいるのだ。
その登場人物たちの悩みと、それぞれが抱えている痛みや傷が作品の深さにつながっていく。
作品初期の段階(3巻くらいまでか)では、その片想い状態がもどかしく、イライラして、読むのを中断してしまったのだ。
(昔、「めぞん一刻」を読んでイライラしたのを思い出してしまった。)
でも、登場人物の1人が旅をするあたりから物語が大きく動くのだ。
もともと絵が上手く、魅力的な描写をする作者だったけど、それからの描写はますます凄みを増した。
そこからは最後まで一気に読んでしまった。
なんといっても、登場人物の存在感の強さが際立っている。
少し時間を置いて、また、じっくりと読み直してみようと思う。
あ、そういえば、新作を連載するようだ。
なんでも掲載誌は「ヤングアニマル」らしい。あの「ベルセルク」の?ほんとうか?
こんなページが!! [:右:] ヤングアニマルのホームページ