大好きなたなか亜希夫さんの新連載が始まっていた。イブニングのNo.13(6月10日発売号)。
不覚にも知らなかった。ファンなのに情けない。
原作が「ビー・バップ・ハイスクール」のきうちかずひろさんとのこと。きうちさんは最近ミステリー小説を書いて話題になったりしている。
モーニングの「かぶく者」も盛り上がっているし、この新連載もとても楽しみだ。
たなか亜希夫さんはいろいろな原作者と仕事をされているが、どの作品も「たなか節」ともいえる独特の世界観を構築する。
どんなに個性の強い原作でも「たなか亜希夫」の作品になってしまうのだ。
たとえば、非常にアクの強い原作を書く狩撫麻礼さんと組んだ「迷走王 ボーダー」や「ア・ホーマンス」もまぎれもなく「たなか作品」になっている。
(余談だが、狩撫さんはいましろたかしさんとの「たこぽん」や谷口ジローさんとの「青の戦士」などの作品の数々を手がけておられるが、非常にアクの強い作品を書く原作者であり、どんなに有名な漫画家と組んでも最終的に「狩撫的」世界観の作品になってしまうのだ。もちろんいい意味で。そんな「狩撫的」な流れに流されない唯一の漫画家が「たなか亜希夫」ではないかと僕はひそかに考えている。そんな狩撫&たなか作品で最も好きな作品は「迷走王 ボーダー」であり、「たなか節」と「狩撫的」世界観が融合した奇跡的な傑作である。個人的には最も好きな作品の一つである。最近復刻されたし文庫も出版された?ようであるので、未読の方はぜひ読んでほしい!)
そんなたなかさんが、あのきうちかずひろさんと組むというのだから、それだけでとても興味深い。
どんな世界が広がっていくのかとても楽しみだ。
ところで、さらに余談になるが、たなか亜希夫さんには小説家の故中上健次さんの書き下ろしを原作とした「南回帰線」という作品がある(あまり知られていないし話題にもならなかったようだが)。中上さんの死去により中断されてしまったのだが、とてもスリリングで緊張感のある密度の濃い作品だった(そして相変わらすの「たなか節」な作品だった)。
ともかく、たなか亜希夫さんの新連載。とても楽しみだ。